カテゴリー別アーカイブ: 歯の相談室

【治療した歯が虫歯に・・・?!②】

■ question ■  治療した歯がまた虫歯になったのですが、これは歯の磨き方が悪いのでしょうか? ■ answer ■ この質問に答えるために、 前回は 歯の構造について解説しました。 虫歯になってしまうと、多くの場合、 外側のエナメル質だけでなく、内側 の象牙質まで削って詰めることにな ります。 それを模式化したのが次の図です。 削った部分には金属等を詰めることになるのですが、実はここで少し問題があります。それは 歯には「噛む」という機能があり、何らかの力を受け止めざるを得ないということです。 歯は金属よりも弾力があり、力がかかると歪むので、金属と歯の境目から次の問題が 生じることになります。さらにその問題が内部に侵入すると、そこにはエナメル質よりも酸に 弱い象牙質が存在するので、表面で起こっているよりもより深刻な問題が起きてきます。 一般的に銀歯は歯科用の セメントで歯に固定されて います。 力がかかって、セメント層 が壊されてくると、次第に 唾液と共にいろいろな物質 が侵入して、内部に問題が 広がっていきます。 これがすぐにわかればいい のですが、なかなか痛みと いう自覚症状は出てきませ ん。 一方で、金属はそれ自体が 丈夫なために、一部分でも 固定されていると、すぐには 外れてくれません。 このような変化は、どんなに 注意深く歯磨きをしたとして も食い止めることができない 場合もあります。 削って治療をしたことの宿命 と言えるかもしれません。 自覚症状がなくても、定期的に歯科医院でチェックしてもらうことをお勧めします。

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【歯の構造を知ろう!】

■ question ■  歯はどんな構造になっているのですか? ■ answer ■ 「削った歯ほど次の虫歯になり やすい」 これは前回述べた通りですが、歯 の構造を知ると、このことを理解し やすくなります。 歯(歯冠)はおおまかに言うと・・・ 「エナメル質・象牙質・歯髄」 の3層構造になっています。 エナメル質は生体の中で最も硬い組織(リン酸カルシウム結晶であるハイドロキシアパタイト を中心とした無機質96%、有機質と水4%)ですが脆く、それだけでは容易に壊れてしまいま す。 一方、象牙質はそれ程硬くなく(無機質70%、コラーゲンを含む有機質20%、水10%) 柔軟性に富んでいるので、エナメル質を内側から支える働きをしています。 また、歯髄には 神経と共に血管なども存在し、「痛み」として危険を知らせるセンサーの役割をすると同時に 内側から歯に栄養を与えています。 エナメル質は「酸による 脱灰」や「(歯ぎしりや食 いしばり等の)物理的な 力」により破壊されます。 歯の発生段階で、エナメル 芽細胞 によってエナメル質 が作り出されますが、 この 細胞は 歯が口腔内に萌出 するとともに消えてしまいま す。 このことは、 骨とは違って エナメル質は再生しない ことを意味します。 つまり、一度壊されたエナ メル質は、治療により修復 するしかないのです。 … 続きを読む

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【治療した歯が虫歯に・・・?!】

■ question ■  治療した歯がまた虫歯になったのですが、これは歯の磨き方が悪いのでしょうか? ■ answer ■ 治療した歯がまた虫歯になった ・・・お困りですね。 これって歯の磨き方のせい・・・? 実はそうとも言い切れません。  歯の治療の耐用年数 ( 正確に 言うと、口腔内保持年数 ) に関 しては、岡山大学の森田先生ら の研究によると・・・   ・レジン充填(白いプラスチックの詰め物) 5.2年   ・インレー修復(詰める形の銀歯) 5.4年   ・クラウン(1本単独の被せ物、さし歯) 7.1年   ・ブリッジ(歯を失った場合のつながった被せ物) 8.0年  (いずれも平均値)    (森田学ほか:歯科修復物の使用年数に関する疫学調査:口腔衛生学会誌, 1995) となっています。 「へ~、そのくらいしか保たないんだ」と思われることでしょう。 ほとんどが詰めたり被せたりした物の周りから虫歯になりダメになってしまいます。 「削った歯ほど次の虫歯になりやすい」・・・まず、このことを覚えておいて下さい。 でも、注意深く歯磨きをすれば、予防できるのでは? この答えを見つけるには、ほんの少しだけ歯に対する理解が必要です。   

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【歯を抜かずに虫歯の治療をしたい】

■ question ■ 歯を抜かずに虫歯の治療をしたいのですが、 どうしても歯を抜かなければならないのはどんな場合ですか? ■ answer ■  最近では、いろいろな治療法が確立され、 抜歯せずに済むケースが増えました。 しかしながら、不幸にして抜歯をしないと いけない場合もあります。 どのような場合にそうなるのでしょうか? いくつかの例を挙げてみます。 (1)治療不可能な重度の虫歯 (2)虫歯はひどくなくても、骨の中に深く炎症が及んで、治療による改善が見込めないとき (3)重度の歯周病で、歯を支える骨が著しく失われ、症状が治まったとしても、咀嚼機能の   回復が見込めないとき (4)歯根が折れてしまっているとき(保存可能なケースもあります) (5)親知らずや歯並びの悪い部分の歯など、充分に清掃できず、他に虫歯を作ってしまう   危険性のあるとき (6)過剰な歯もしくは異常な位置に萌えている歯 (7)永久歯が萌えるのを妨げている乳歯 (8)その他 いずれにしても、「歯を抜く」という場合には、的確な診断に基づいて、治療をして歯を残すことよりも抜歯をするほうが患者さんにとって利益があると判断される必要があります。 逆に言えば、患者さんにとっては自覚症状がそれ程でなくても、その歯の予後(今後の状態)を考え た場合に、抜歯する方がよいというケースもあります。 患者さんの希望に応じて、治療をして経過をみたために、かえって周囲の骨を失うことになる 場合もあり、そうなると後でインプラント治療を行おうとしてもできなかったり、義歯を作ろうと しても安定の悪いものになったりします。 かかりつけの歯科医の先生と、今後の経過等を含めて、よくご相談なさってください。

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【フッ素配合歯磨剤の効果】

■ question ■ フッ素が配合された歯磨き粉はムシ歯予防に効果があるの? ■ answer ■ フッ素については、日本ではいろいろな意見があり ますが、世界では反対している国は少ないと思いま す。 先日、日本歯科医師会宛に日本弁護士連合会(日 弁連)より「フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書 ・平成23年2月28日付」が寄せられたようですが、 歯科医師会からは「う蝕予防におけるフッ化物応用 の重要性は、確立された有効性および安全性に基 づき、世界的にもWHO(世界保健機関)、FDI(国際 歯科連盟)の他、150を超える専門機関により認め られている」と回答がありました。 勿論、化学物質ではありますので、使用法を誤ると副作用や中毒などの害もあります。 しかしながら、予防大国のスウェーデンでも、今や児童でも大人と同じ濃度の歯磨剤を使うように 指導されるようになってきました。同じ濃度で半分量使えば、半分の濃度の歯磨剤を使って いるのと同じだと考えています。 使用法としては、イエテボリ・テクニックという使い方があります。 2+2+2+2と覚えて下さい。 歯ブラシの上に2cm(就学前児童は1cm、幼児は小豆粒大)の歯磨剤をのせ、2分間かけて、上下の歯を磨きます。ブラッシング後は少量の水で口をゆすぎ、ゆすぎ過ぎないよう にします。ブラッシングは1日2回で、ブラッシング後2時間は飲食しないようにします。 このとき使う歯磨剤のフッ素濃度ですが、日本では薬事法で1000ppmまでに抑えられています ので、その範囲内のものを使用することになります。もし心配でしたら、幼児用100~500ppmの 濃度のものもあります。 ただし、海外では普通に1500ppmくらいのフッ素入り歯磨剤が売られていますし、スウェーデンな どには最高5000ppmのものもあります。それくらい日本では抑制されているということです。 フッ素塗布に関しては、日本では6000~9000ppmくらいが一般的だと思いますが、それぞれの 歯科医院で異なりますので個別にご相談されるといいでしょう。このくらいの濃度のものは、やはり 歯科医師の管理下で使うのが安全です。

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